顧みられない
プロジェクト参加時の最初の課題は顧みられない熱帯病の一つ、ブルーリ潰瘍でした。どこででも感染しうる水辺感染症の一つですが、認知度の低さ、簡易的な検査方法の未確立などの背景から実態が不明でWHOに報告される年間の新患者数も2000-5000となっています。簡易的な検査方法の研究成果を実用化する橋渡し方法のパイプライン確立がタスクとなり、発売元の候補を探して一周しましたが、製薬会社からの反応は芳しくありませんでした。それは無理もない話で、新薬の成立には膨大な時間とコストがかかり、継続するためにはさらにコストがかかりますが、患者数が少なく実態が不明では動きようがないからです。また、他国の保健省にも確認しましたが、認知度の低さからなかなか理解が得られません。
まさに顧みられない熱帯病が顧みられずに対策が遅れる現実的な理由を実体験した瞬間でした。
認知度の問題
顧みられない熱帯病(NTDs)の一つにデング熱があります。日本ではほとんど知られない感染症ですが、ASEANでは一般的な風邪同様に知られる日常病です。私の場合、10年に渡るインドネシアとの共同活動の中で、現地で知った病気の一つです。そのデング熱が2024年パンデミックとなり2024年半ばで既に1000万人を超え、人の移動に伴い国境をまたぐ感染症となりました。蚊を介して感染するウイルスのため、感染していることさえわかっていれば増加を防ぐ方法は容易ですが、先進国側の認知度の低さと簡易的な検査・検疫方法が普及していないため一気に拡大をした状況です。対岸の火は、ほんの少しのタイミングの一致で、いつでも自分たちの家を燃やしうるということです。これらの認知度の低いリスクは、実は世界経済的損失も高く、生活の質を向上など世界の持続的成長にブレーキをかける重大な要因です。
DO IT
こういった例に対策するめに必要なものは、認知度の向上と簡易的にどこでも使える検査法です。まずは知ってもらうこと、そして簡単な検査方法を社会実装することで、解決に一歩ずつ進みます。
本プロジェクトはまさにこれらの国際課題を、地域を問わず解決に貢献できるポテンシャルを持っています。
ぜひ、まずは知ってください。その上で、皆さんの一声がより多くの方につながることで、世界はもっと生きやすい場所へと進んでゆくと願います。