ブルーリ潰瘍とは
ブルーリ潰瘍は、Mycobacterium ulceransを起因菌とする慢性皮膚感染症です。
感染経路は未だ不明ですが、菌は環境中の川や池、湿地たなどの水系に生息しており、それらに接触する可能性が高い住民に多く発生しています。
主な症状である皮膚潰瘍は菌が産生する毒素(マイコラクトン)が皮膚の細胞を傷害することによって起こります。
また、末梢神経を障害し、患者は潰瘍が形成されても痛みをほとんど感じることがない場合が多く、そのことが医療機関の受診が遅れる原因にもなります。
関節域にまでおよぶ広範囲の皮膚潰瘍では、治癒しても関節が拘縮(固まってしまい、動かすことができないこと)し、永続的な運動機能障害を与えてしまいます。
WHOは抗菌薬による8週間の治療を推奨しており、これで菌は死滅すると考えられていますが、そのあとでも広範な潰瘍の治療が必要になります。これらのことからも潰瘍が小さい早期に正しく診断することが重要です。
疫学
ブルーリ潰瘍は日本国内でもわずかですが、報告例があります。
2023年末までに88名の患者が確認されています。
世界では30カ国以上から年間約2000人程度の新規患者の報告があります。アフリカや南北アメリカ、オーストラリアが主な患者発生国ですが、知名度が低いために実際の患者数はさらに多く存在すると考えられています。*1
*1 World Health Organization (WHO).Number of suspected cases of Buruli ulcer reported
実態
ブルーリ潰瘍の臨床診断はほとんどの場合、流行地域で診療経験のある専門医による経験的診断です。
確定診断はPCR法が推奨されていますが、発展途上国では検査を行うことは困難を極めます。
また、潰瘍部分や後遺症である関節の拘縮による見た目が受け入れにくいことから、偏見・差別を受ける原因となりうるため、治癒後における社会復帰が大きな問題となっています。
現在のところブルーリ潰瘍の検査試薬は存在しないため、本疾患によって苦しむ人々が多く存在しています。
したがって、迅速診断法の開発は、適切な治療を早期に受けることが可能となり、社会生活においても復帰しやすくなることが期待されます。
