CRADAR-i PROJECT

クレーダーアイプロジェクトでは核酸(DNA/RNA)による迅速確定診断方法の研究開発を通じて、国際感染症課題のNTDs、AMRの対策活動を行っています。

infection

国際感染症課題

COVID-19(新型コロナ感染症)は記憶に新しいパンデミックですが、世界には未だ未解決の感染症課題が多く残されています。
WHO(世界保健機関)が重要課題として掲げる国際感染症の中でも、特に医療インフラ整備が遅れている国や地域を中心にが発生している感染症や、患者数が少ない又は不明で市場規模が小さいという理由で対策が遅れている疾患が多く含まれます。
例えば、NTDs(顧みられない熱帯病/Neglected tropical diseases)という感染症群は、先進国ではなく熱帯地域や途上国を中心に発生している感染症群*1ですが、10億人の生活を脅かす世界的問題となっています。地域病の側面が大きいNTDsですが、例えば2024年に流行しているNTDのデング熱は既に84の国と地域、1100万件を超える症例と7000人を超える関連死者が出ており、対岸の火とは言えない緊急課題になっています。*2
これらの国際感染症は、大きな経済損失と共に地域の人々の生活や発展の妨げになっています。

 

*1 NTDには、ブルーリ潰瘍、シャーガス病、デング熱およびチクングニア熱、メジナ虫症、エキノコックス症、食中毒性吸虫症、アフリカ睡眠病、リーシュマニア症、ハンセン病、リンパ系フィラリア症、菌腫、クロモブラストミセス症およびその他の深在性真菌症、野腫、オンコセルカ症、狂犬病、疥癬およびその他の外部寄生虫症、住血吸虫症、土壌伝播性蠕虫症、ヘビ咬傷による中毒、条虫症/嚢虫症、トラコーマ、およびフランベジア症が含まれます。World Health Organization (WHO).Neglected tropical diseases
*2 ECDC, European Centre for Disease Prevention and Control. Dengue worldwide overview. Situation update, July 2024.

medical inspection

早期検査の重要性

これら感染症は、症状だけでは判別できないものも多く、また初期においては無症状であることも多いため、手当が遅れて重症化や死に至るケースや生涯残る後遺症となることも多々あります。疑いがあった際にすぐに検査を行えば殆どのケースで対策が可能ですが、医療施設や設備、診断技術が不足するあるいはない地域は多く、十分なファーストケアが行われていません。また、確定診断を行う為には、原因菌やウイルスの特定が必用ですが、高精度な確定検査を行う為には、PCRや遠心分離機、試薬など高額な設備や検査薬、施設や熟練した検査技師、医師が不可欠です。しかし実態としてはそれらの高度インフラは殆どの地域で不十分です。
その為、プロジェクトではどこでも、だれでも、簡単に、高精度な確定診断が出来る検査法の研究開発と提供を通じて、これら地域差による医療ケアの格差を埋めるための活動を行っています。