研究チームリーダー 鈴木幸一(すずきこういち) 教授 博士(医学)

  • 帝京大学医療技術学部臨床検査学科教授
  • 国立感染症研究所客員研究員
  • 横浜市立大学医学部客員教授
  • 1994 - 1999 米国国立衛生研究所(NIH)、博士研究員
  • 1999 - 2000 米国ワシントン医療センター付属メッドスター研究所分子内分泌研究室、独立上級研究員(P.I.)
  • 2001 - 2017 国立感染症研究所ハンセン病研究センター感染制御部感染診断室、厚生労働技官研究職室長
  • 【所属学会】日本内分泌学会(功労評議員)、日本甲状腺学会(評議員、副編集委員長)、日本臨床内分泌病理学会(功労評議員)、日本組織細胞化学会(評議員)、日本細菌学会、日本ワンヘルスサイエンス学会(理事)
  • 【委員】公益財団法人国際科学技術財団「日本国際賞」推薦人、日本学術振興会(JSPS)科学研究費委員会専門委員、国立療養所多磨全生園倫理委員会外部委員、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)課題評価委員、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)課題評価委員、日経アジア・アフリカ医療イノベーションコンソーシアム(AMIC)NTD部会メンバー、WHO Skin NTDs Working Group Member
Kouichi Suzuki

PCRに替わる画期的な核酸同定法

様々な病気の診断、病原体の検出や生物種の特定などにPCR法やDNAシークエンス法が広く用いられています。しかし、これらの技術は高度な機器を保有する検査室と、知識と技術を有する人員がいて初めて可能になるものであり、これらを最も必要としている途上国や、野外、あるいはクリニックなどの現場レベルで実施することはできませんでした。
 私達が新たに開発したCRADAR-i法は、どこでも誰でも簡単な操作で様々な核酸を短時間に検出同定出来る革新的な方法です。キットは低コストで、室温で長期保存が可能であり、特別な装置を一切必要とせず直感的に操作可能で、1時間以内に結果が可視化されます。

Suzuki Lab

新型コロナウイルスのような新興感染症の際に、ウイルス抗原を検出するための抗体を作成するには数ヶ月から1年以上の時間がかかりますが、CRADAR-i法はウイルスのゲノム情報がわかった段階で短期間で検査法を提供可能です。医療だけでなく、生物学全般や農林水産業や食品業界における簡易核酸同定法としても広く使用可能です。その際に、複数の病原体や生物種を1つのキットで同時に検出するmultiplex法にも対応しているために、コストや時間を削減することが可能です。
 1983年にPCR法が開発されてから40年。この方法が広く普及することによって、核酸の検出法の新たな時代の幕開けとなり、多くの分野に変革をもたらすことでしょう。