REASSURED criteria

WHOが定義する、途上国など地域差なく診断を促進し、病気や感染症の治療を導くために使用できる理想的な検査の基準について。

REASSURED

REASSURED 理想的な検査基準

国際課題感染症の診断を地域差なく十分なレベルにすることは感染症克服にとても重要なことです。2000年初頭、世界保健機関(WHO)は途上国など地域差なく診断を促進し、病気や感染症の治療を導くために使用できる理想的な検査の基準「ASSURED」を発表しました。その後ASSUREDは拡張されREASSUREDとなり診断精度の向上が求められています。
REASSUREDとはいくつかの言葉の頭文字をつなげた用語で、以下の要素から成っています。

  • R eal Time Connectivity
    -リアルタイム接続性
  • E ase of specimen collection
    -検体採取の容易さ
  • A ffordable by those at risk of infection
    -感染リスクのある人への手頃な価格での供給
  • S ensitive (few false-negatives)
    -感度が高い(偽陰性が少ない)
  • S pecific (few false-positives)
    -特異性が高い(偽陽性が少ない)
  • U ser-friendly (simple to perform and requiring minimal training)
    -簡単に使用できる
  • R apid (to enable treatment at first visit) and Robust (does not require refrigerated storage)
    -迅速、かつ高い保存安定性
  • E quipment free
    -特別な機器は不要
  • D elivered to those who need it
    -必要な人に届く

これらは、医療施設がない地域や、医療格差のある地域、また船舶・航空機内など閉鎖的空間や被災断絶された地域における、初期診断の精度向上とその後の治療成績の向上に必用な要素です。プロジェクトでは、REASSUREDの実現をテーマの一つとして取り組んでいます。

medical inspection
medical inspection

ASSURED CRADAR-iへの実装

多くの地域を超えて拡大する国際課題感染症を制圧し、人々の命や生活を守るためには、ASSUREDを実装した診断法が有効です。そこでプロジェクトチームはASSUREDに準拠した、使い捨ての体外診断用医薬品"CRADAR-i"の研究開発を進めています。
"CRADAR-i"は「どこでも」「だれでも」「簡単に」使用でき、高精度な検査結果を60分以内の短時間で出すデバイスです。

高精度

確定診断をするためには、問診、感染状況の情報、症状観察、状態検査など様々な診察・検査を行いますが、最もシンプルな方法は、原因菌・ウイルスの特定を行うことです。現在最も汎用的に使用されているのは、抗原・抗体といった、感染後にヒトの細胞側が放出する特異的な物質を検査する手法ですが、精度が不足するケースが多く、確定的な診断に至らないことが多いのが課題です。
現在、最も高精度に感染原因を特定する方法は遺伝子検査です。菌・ウイルスはDNAやRNAを内部に持っており、その配列の情報を読み取る手法はほぼ100%の精度の結果となるため確定診断にはPCRなどの遺伝子検査装置を使用します。
CRADAR-iはPCR同様、DNAやRNAをリードする方式で、確定診断に耐えうる高精度な検査結果を表示します。


どこでも・だれでも

最も汎用的で高精度・信頼性の高いPCR検査ですが、検査を実施するためには、専門施設、周辺機器を含む高額な機器類、そしてなにより大変なのが臨床検査技師の育成と配置に多大な時間とコストがかかることにあります。先進国の殆どの地域では、これらの条件を全て満たす検査医療機関が十分に配置されていますが、途上国や過疎地域、閉鎖空間、被災地域では、実施が不十分あるいは出来ていません。
CRADAR-iは、使い捨ての小さな低コストデバイスです。可搬容易性の高い体外診断用医薬品のCRADAR-iは「どこでも」「だれにでも」使用出来る特徴から、国際課題感染症の新たな解決法として機能します。


かんたん

CRADAR-iの使用方法は非常にシンプルです。ヒートユニットに接続した後、試験したい検体(だ液、血液、尿、ぬぐい液など)を投入口に入れ、検査開始ボタンを順番に押すだけです。結果は60分以内にウインドウに表示され、目的微生物の感染が陽性か陰性かを知ることができます。


高い応用性

CRADAR-iはシングルキットとマルチキットの2種類が開発されています。
【シングルキット】
単一の感染症の検査を行うキットです。疑いのある疾患の確定診断に使用します。現在まで、ハンセン病、ブルーリ潰瘍、薬剤耐性CPEのリードができていますが、それ以外の微生物であっても遺伝子配列情報があれば短期的に対応開発できます。新興再興感染症や新たなパンデミックなどの課題に素早く対応可能なデバイスです。
【マルチキット】
同時複数の微生物の同定検査が出来るキットです。何に感染している可能性があるか不明な際のスクリーニングパネル検査に使用出来ます。

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REASSUREDへの拡張

医療施設のない、または専門医がいない地域、区域では医療関係者又はセルフ検査が多く行われます。しかし、検査後の次の処置が出来ずに手遅れになることも問題の一つです。一方、スマートホンなどの無線インターネットや、衛生インターネットインフラは急速に普及し、地球上のあらゆるエリアをカバーしつつあります。CRADAR-iはREASSURED対応の上位規格タイプSXDの開発が進行しており、インターネットを通じて、リアルタイムに遠隔の専門医や情報サービスと接続します。
結果を遠隔の医師や情報システムと共有することで、検査結果後の応急処置や、対応可能な医療施設への移動指示、医薬品の搬送による遠隔診療などを実現し、大切な生命や生活を守るための支援システムとして機能します。

CRADAR-i SXD

SXDは独自のホウ素ドープダイヤモンド素子(特許)を使用して、電気化学的に物質情報を読み取る技術です。DNA/RNAなどの核酸情報や、化合物、タンパク質など多様な物質の情報を読み取り、電子化された情報は、スマートホンや衛生インターネットなどの通信デバイスを通じて送信されます。情報は遠隔の医師や情報システムと連携し、遠隔医療やPHR(Persona Health Record)などの次世代医療を実現や進歩に役立ち、より良い医療の発展に貢献します。